Mjunpaの日記

京都の高校の数学教員です。何気ない高校生との会話に心が救われる今日この頃を綴っていきます。趣味の統計学も少しずつ放出していきますよ。

モンテカルロ法で円周率を求めよう

 数学って理科みたいに実験することって僅かです。三角比を利用して校舎の高さを測ったり、自転車のタイヤに印をつけて走っているのを横から見てサイクロイド曲線を観察したり…いずれも教室の外に連れ出すので楽しいのですが何かと面倒です。でも今日は違います。「よーし、今日は教室で実験するぞー」と生徒たちも私もウキウキです。😁

 画用紙に1辺の長さが1の正方形をかいて、その中に4辺に内接する円を描きます。

 この画用紙の上から正方形内にn粒の黒ゴマをランダムにふりかけると、正方形と円の面積がそれぞれ1とπ/4ですから、ゴマが円の内側に入る個数Xを使って、円周率がπ^=4X/nで点推定できます。

 さらにi番目のゴマが円内に落ちれば1、円外に落ちれば0の値をとる確率変数Xiを考えると、X=X1+…+Xnであるから、中心極限定理より、π^は平均π分散π(4-π)/nの正規分布に近似的に従うため、分散のπをπ^に置き換えて円周率の区間推定も可能です。

 またさらに、もし他の方法でπ=3.14というのがわかっている場合にはnが何粒以上ならπ^の標準偏差を0.01より小さくできるかというサンプルサイズの設計もできます。(計算すると約27000粒でした。さすがに実験するのは多すぎ…)

 「せんせ~、円周上のゴマは内側外側どっち?」「床にいっぱいこぼしちゃた」「このゴマ、美味しい!」…こんな感じで、授業ではアナログ的に実験しましたが、ネットで「モンテカルロ法 円周率」と検索すれば出てくる一様乱数を使ったシミュレーションを見せてあげると、また別の感動があったみたいで、生徒のみなさん喜んでいました。😀