Mjunpaの日記

京都の高校の数学教員です。何気ない高校生との会話に心が救われる今日この頃を綴っていきます。趣味の統計学も少しずつ放出していきますよ。

卒業おめでとう

 3月は別れの時期です。寂しさと希望が入り混じる中で「おめでとう!」を何度も連呼します。

 卒業おめでとう!三年間、よく頑張りましたね。でも中には次の進路も決まっていないのにおめでとうとか言われても…という人もいるでしょう。人生山あり谷あり、生きているだけでも大変なものです。卒業という節目を迎えて、ここで一旦今まで生きてきた自分をほめ、支えて頂いた方に感謝しましょう。そして、これからも生き続けようと決意を固めてください…

 これまで他の先生方のお話を聞く機会が余りなかったのですが、大体こんな言葉を贈っているんじゃないかな?

 特に思い出に残っているのが、最後に記念写真を教室で副担任の先生に撮ってもらったとき、その方が「いいクラスでしたね」と涙ぐまれて、全員がもらい泣きしたことです。😂

 大変な時代ですが、卒業生のみんな、これからも生きて幸せな人生を歩んでください。

モンテカルロ法で円周率を求めよう

 数学って理科みたいに実験することって僅かです。三角比を利用して校舎の高さを測ったり、自転車のタイヤに印をつけて走っているのを横から見てサイクロイド曲線を観察したり…いずれも教室の外に連れ出すので楽しいのですが何かと面倒です。でも今日は違います。「よーし、今日は教室で実験するぞー」と生徒たちも私もウキウキです。😁

 画用紙に1辺の長さが1の正方形をかいて、その中に4辺に内接する円を描きます。

 この画用紙の上から正方形内にn粒の黒ゴマをランダムにふりかけると、正方形と円の面積がそれぞれ1とπ/4ですから、ゴマが円の内側に入る個数Xを使って、円周率がπ^=4X/nで点推定できます。

 さらにi番目のゴマが円内に落ちれば1、円外に落ちれば0の値をとる確率変数Xiを考えると、X=X1+…+Xnであるから、中心極限定理より、π^は平均π分散π(4-π)/nの正規分布に近似的に従うため、分散のπをπ^に置き換えて円周率の区間推定も可能です。

 またさらに、もし他の方法でπ=3.14というのがわかっている場合にはnが何粒以上ならπ^の標準偏差を0.01より小さくできるかというサンプルサイズの設計もできます。(計算すると約27000粒でした。さすがに実験するのは多すぎ…)

 「せんせ~、円周上のゴマは内側外側どっち?」「床にいっぱいこぼしちゃた」「このゴマ、美味しい!」…こんな感じで、授業ではアナログ的に実験しましたが、ネットで「モンテカルロ法 円周率」と検索すれば出てくる一様乱数を使ったシミュレーションを見せてあげると、また別の感動があったみたいで、生徒のみなさん喜んでいました。😀

定数打切りデータにおけるMTBF(補足)

 とうとう2月が終わろうとしています。😢教員になって一番好きなのがこの時期です。3年生が自宅学習期間に入り、3分の1の教室がガランとして寂しくもあり懐かしさも感じ始める2月…もちろん受験を控えて登校する3年生も大勢いますが、五月雨式に職員室を訪ねて来るので、やっぱり普段とは違う雰囲気です。

 今年度は特に、仕事も私生活も大きな節目を迎えて、自分にとって感慨深いものがあります。3月になると年度末処理の作業と並行して新年度準備に追われ、気づけば4月になっているって感じです。

 あと少しの2月を悔いを残さぬよう楽しみたいと思います。😊

 今回は以前、定数打切りデータにおけるMTBF(平均故障間隔)の区間推定についてレポートした補足になります。「いつまでMTBFばかりやってるの?」とあきれられそうですが、三歩進んで二歩下がるペースがいつの間にか身についてしまい、暖かく見守ってやってください。

サンドウイッチの作り方


 国公立大学の前期入試直前、3年生との会話。「調子はどう?」「まあぼちぼち…」「いよいよだね。できなかったことを悔やまずに、ここまで頑張った自分をほめてあげてね」「…(;_;)…」「上向いて行こうよ、あとちょっとだよ」精神的に限界に近いのか、とっても不安定です。でもこの生徒はきっと第一志望に合格すると経験上感じます。頑張れよ~🔥


 同僚教員に教えてもらって授業でウケた?話題を一つ。正方形のパンを半分に切ってハムをはさんでサンドウイッチを作る。次のどちらがお客様からクレームが来ないだろうか?


①パンの山から1枚を選んで、半分に切ってハムをはさむ。これを繰り返す。

②前もって全てのパンを半分に切っておき、混ざった中から2枚選んでハムをはさむ。

ただし、パンの厚みにはばらつきがあり、分散σ^2とする。ハムの厚みのばらつきは考えないものとする。🤔


 まず直感でこっちかなと思う方に手を上げてねと尋ねたところ、意外にも両方とも結構手が上がって驚きました。😲


①のパンの厚みをXとすると、分散はV(2X)=2^2σ^2=4σ^2です。

②の2枚のパンの厚みをそれぞれX、Yとすると分散はV(X+Y)=V(X)+V(Y)=2σ^2です。

 つまり①の方がばらつきが大きくなるためクレームが来やすいと考えられます。

 ②ではXとYが独立なので、分散の加法性が成り立つことを考えさせるいい問題だと思います。


 分厚いパンを半分に切ったら2枚とも分厚いだろうし、薄いパンを切ったら2枚とも薄くなるから、①ではクレームが来そうだ!と考えて間違えないだろうと予想していました。

 生徒に選んだ理由を聞くと、「ただ何となく…」「同じパンで挟まないとまずそうだ」などクレームの原因がばらつきにあるという当方の設定からズレていた様子でした。

 普段身の回りにばらつきの大きな物を見かけないため、ばらつきを意識しないことが原因なのかな?裏を返せば、品質管理の行き届いた商品に恵まれた生活をしているということなのですかね。😀

定数打切りデータにおけるMTBFの区間推定

 2月は祝日や高校入試のため、結構授業が抜けます。学校が休みだから、家でしっかり勉強してね、といろいろメッセージを送りますが届きません。勉強はさせられるもの、学校が休みだから勉強も休みでしょ?って子がなんと多いことか。今やっとかないと後でしんどくなるとわかっていてもやらないのは、程度の差はあれ大人と同じで、人間のサガなのでしょうか…


 今回の統計レポートはMTBF区間推定で2回目になります。MTBFとはmean time between  failureの頭文字で平均故障間隔と訳されます。家電や車などの寿命を推定することはメンテナンス上欠かせない品質保証活動です。ところがこの理論は本当に難解で不明な点が多く、私に見えている部分は氷山の一角に過ぎません。お気づきの点等あればぜひご教授をよろしくお願いします。

 

バレンタインデー

 2月14日が土日でありますように…いつからか祈る気持ちでカレンダーを見るようになりました。バレンタインデーに高校生は、まあびっくりするくらいチョコの交換を楽しんでいます。普段大人しい生徒ですら嬉々として交換しているのを見ると、こういうのが意外とストレス解消になってるのかなとも思います。 

 「先生もチョコほしい?」と聞かれて「やったーもらえるの?」とうれしそうに言うと、「お返し、楽しみにしてまーす」とくれます。手の込んだものもあれば定番チョコまで、平均しても10個はいただきます。大抵放課後の走り回っているときにもらうことが多く、チョコに名前が書いてある訳でもないので、誰からもらったのかわからなくなります。
 翌月、数名の憶えている生徒の場合はお返しを準備しますが、そうでない場合は憶えている生徒にだけお返しをするのも悪いので放っています。もらったらお返しするのが当然なのですが、だからといって相手の好意を無視することもできません。結果、生徒から何か言われたり、冷たい態度をとられたら「ごめん」と謝るしかありません。その場面を思って、2月14日は憂鬱になるのです…
 こんなことで悩んでいるのは自分だけだろうと思いきや、近くのイケメン教員も同じく憂鬱そうに「○○先生からもらってしまい、何をお返しすればいいやら…」とこちらはより深刻そうです。
 

本物に触れる

 2月に入り逃げるように日が過ぎていきます。大学入試も大詰めの時期で、受験生のみなさんと接していると不安に押しつぶされそうになっているのが痛いほど伝わってきます。「安定してきたね」「うまく行くんじゃね」と励ますと微笑み返してくれます。少しでも気持ちが楽になってくれればと、思いつく限りの全力の激励を続ける毎日です。みなさん、自分を信じて進んでいきましょう。

 先日、「信頼性・保全性の数理」という本格的な品質保証の専門書が届きました。理論重視の古典的な内容でまさしく本物です。 大学で教えている友人が、かつて「学生には勧めにくいが、オリジナル本こそ読んでほしい」と言っていたのを思い出します。今では、イラストが豊富に入ったものやPC作業を意識したスキル重視のものがほとんどの中で、本物でしか味わえない旨味に舌鼓を打つ毎日です。(難しくて1日1ページのペースですが…)